2020年度まなびまくり社に参加した市立札幌開成中等教育学校高校2年生の佐久間若菜です。本ページでは、私がまなびまくり社をきっかけに開催したイベント『SDGs×Wall Art』についてまとめました。
目的・計画・実践・振り返りの流れでまとめました。ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
目的
『SDGs×Wall Art』とは、その名の通りArtを通してSDGsを広めるイベントです。この企画は3つの目的のもとで考案しました。
- もったいないを価値に→使われていない壁にアートをすることで、そこに華を加え、価値を見いだす。
- SDGsの発信→ SDGsの理解を広めると共に、参加者が考えるSDGsをArt通して発信する。
- コロナ禍のコミュニティー→コロナ禍で人との接触ができない中、間接的にアートとしてコミュニティーを作る。
これら3つが融合したものを目的として掲げました。
私がまなびまくり社にはじめて参加した際、以前から学校の授業で学び、興味を持っていたSDGsに関する企画をしたいと思い提案しました。そのとき、まなびまくり社の運営の方々や一緒に参加した高校生たちから賛同の声をいただきました。
その後、今回開催させていただいたノンノさんとマッチングしました。
企画の目的や内容をプレゼンテーションし、私の企画の目的とノンノさんの障がいがある・ないに関わらず交流の場をつくりたい、新しい施設の壁を明るくしたいというお互いの思いが一致し、今回イベントを開催させていただきました。
また、今回の企画のために『. and u』という団体を立ち上げました。
点と点(. and)が結合する(unite)、つまり人々が繋がる架け橋になるという思い込めてつくりました。この団体の特徴は、企画の運営する人だけでなく、参加者、少しでも関わってくれた方はメンバーになるという点です。団体にしばりをつけるのではなく、関わってくれた方々は勝手にメンバーにしてしまおうというのがポイントです。
計画
このイベントには、「知る→学ぶ→実践する」というサイクルがあります。
まず「知る」では、私たちがSDGsについての説明をし、参加者にSDGsの理解を深めてもらう。次に「学ぶ」は、参加者に私たちが考案したSDGsアートを一緒に作ってもらう。そして「実践する」では、建物の利用者、通行人の方々に見て、知ってもらう。また、SNSを通して発信する。
このサイクルをかけることなく行うことで、最終的にイベント後参加者自身でSDGsに取り組んでもらえると考えました。
このサイクルは、企画当初からあったものではなく途中段階でつくりました。はじめはサイクルの「学ぶ」にあたるSDGsに関する絵を描くことがメインでした。
ですが、そのままだとお絵描きになってしまい、SDGsの発信という目的から外れてしまう問題点があったことから、現在のサイクルを生み出しました。それにより、「知る→学ぶ→実践する」がバランスよく組み込まれ、「学ぶ」がゴールであったものをあくまでも「実践する」につながるための過程だと考えることで問題解決につなげることができました。
実践
これは、実際に完成した作品です。作品内に5つのエリアがあり、それぞれSDGsに結びつけたアートになっています。ここからは、それぞれのポイントを説明していきます。
①SDGs紙芝居
4.質の高い教育をみんなに 9.産業と技術革新の基盤をつくろう 17.パートナーシップ目標を達成しよう
これはアートをする前にSDGsとは何かを説明するためのコーナーです。
今回は参加者のメインが子どもであったため、伝わりやすいよう紙芝居形式にしました。気付かぬうちに日常生活でSDGsに関わっているということを伝えるためのものです。
②幸せの象
5.ジェンダー平等を実現しよう 10.人や国の不平等をなくそう
このアートはイベント当日の1番のメインです。手や腐ってしまった野菜を利用し、インクをつけて壁に絵を描きました。
LGBTQの象徴であるレインボーをカラフルなインクが混じり合うことで、表現しました。元々は、カラフルな木の葉っぱを描く予定でしたが色が予定より混ざり、形がなんとなく象に見えたことから幸せの象徴とも言われている象を描きました。また、私たち運営メンバーからSDGsを考えてもらうきっかけにならようなメッセージも書きました。
参加者の子どもたちに描いてもらい、楽しみながらできた!という感想が多く、発案者としてとても嬉しかったです。
また、予定とは違うものでしたが、参加者の皆さんから随時アイデアをもらいながら進めたことで、最終的にみんなの思いがつまった作品を作ることができたと思います。
③レシートアート
12.つくる責任つかう責任 14.海の豊かさを守ろう
レシートアートとは、レシートに熱を加えると黒くなるというレシートの特徴を活かしたアートです。
これは、一緒に活動したメンバーが提案してくれました。私はSDGsに関する絵を描くというアイデアしかなかったです。ですが、アート自体をSDGsに貢献するという新たな視点からのアイデアをもらいました。
実際に使用したレシートは、私が通う中等教育学校で集めました。各クラスに呼びかけをし、約2週間で予定の倍以上のレシートを集めることができました。同時に、協力してくれた生徒の中にこのイベントの存在を知り、SDGsに興味を持ってくれる方が増えたかなと思います。
集めたレシートは壁に貼り、そこに環境汚染により体がむしばまれる魚の様子を描きました。人の行動によって魚にどのような影響があるのかということを考えもらうためのデザインです。
④木のオブジェ
12.つくる責任使う責任
今回使用した木材は、株式会社JMLさんからいただきました。
私たちは実際に株式会社JMLさんに足を運び、木材に込める思い、現在の木材に関する問題点など様々なお話を聞かせていただきました。
ごみになってしまう木材の多さにとても衝撃を受け、私も何か役に立てたら良いなと思いました。
その後今回の企画についてプレゼンテーションを行い、貴重な木材をいただきました。これらの木材は、通常の木材を切った時に出てくる破片を組み合わせてできた木からさらに切り落とした破片で、すべて捨てるしかなかったものを使用しました。
リサイクルによって素敵なオブジェを作成できました。
⑤つながる黒板
17.パートナーシップ目標を達成しよう
これははじめからあったものではなく、目的の1つであるコロナ禍のコミュニティーをつくれるものをアートに組み込みたいと思い考案しました。このアートで新たに人と人が繋がれたら良いと思います。
振り返り
全体を通して、SDGsという一見難しそうなものをアートを用いることで身近に感じてもらえたと思います。
ですが、コロナ禍であったため多くの方に来てもらうことができず、ターゲットが子どもたちだったためSDGsを理解することよりも楽しみが勝ってしまった部分があります。
サイクルの知る、学ぶはクリアしてもそこから実践までつなげることが難しく今回は上手くつなげられませんでした。
さらに、事前準備の甘さも改善点として挙げられます。実際にイベントをやってみると、思っていたよりペンキが足りない、時間がかかってしまうということが多々ありました。事前にもっと当日をイメージして創造する力が必要だったと思います。その中で、想定外のことがあっても臨機応変に対応できた点は良かったと思います。
イベント自体はみんなで楽しくできましたが、そこまでの企画、準備はとても大変でした。
何度も打ち合わせを重ねて問題を解決をしたり、必要なものを事前に調査してから購入することを何回も繰り返しました。
途中、コロナの影響でイベントができないかもと思うこともありました。ですが、一生懸命準備してきたことを実際にイベントとして開催することができ、たくさんの時間をかけ苦労したからこそ、最終的に良いイベントを作り上げることが出来たと思います。
企画当初のノンノさんとの打ち合わせでは、「障がいがある・ないに関わらず」ということを正直あまり理解できていませんでした。
ですが、イベントを通して誰もが暮らしやすい世の中にしていくことの重要性に気付きました。イベント後、テレビやインターネットを通して障がいや病気をもつ方の現状、思いを知りました。そのときに自分が開催したイベントの価値を感じました。そして、これからも自分にできることはないかと考えるようになりました。この企画を通して、自分自身の成長にも繋がったと思います。
今後、札幌だけでなく全国各地で開催し、少しでも多くの人にSDGsの理解を深めてもらいたいです。同時に、私自身もこのイベントで学んだスキルをこれからの生活や人生にいかしていきたいです。
また、私1人ではここまで進めることができなかったと思います。企画段階から協力してくれた方々、イベントに来てくれた参加者の方々にはとても感謝しています。ありがとうございました。
大人チームから
まなびまくり社 林匡宏(commons fun 代表)
めちゃめちゃ最高でした!
まなびまくり社のプログラムが終わってからも冷めない佐久間さんたち高校生の熱量!そして自分達だけじゃなく大学生まで巻き込んでしまうその行動力!そして、そんな若者たちを大きな心で受け入れて下さった合同会社チキサニの片岡さん!空間の出来上がりも素晴らしいですが、今回のプロジェクトはこのプロセスにこそ価値があると思います!
数年前に片岡さんから「障害も年代も超えて、みんなでつながる家をつくりたいのよね…」と相談頂いた時からこの物語はスタートしたような気がします。そこに高校生が合流し、今もまだ大学生中心に場づくりの企画づくりが続いています。このように、まなびまくり社は、人が、街が、小さくてもキラリと光る一歩を踏み出すために、いろいろ繋いだり、一緒に楽しんだり、まなんだり、そんな組織になればなぁ、と思います。
みんなお疲れ様でしたー!これからもよろしくお願いします!
まなびまくり社 平野順平(NPO法人E-LINK 副理事)
学童保育、フリースクールの運営をしている「NPO法人E-LINK」を中心に「さっぽろ下町づくり社」などでも活動している平野です。
私はこの活動の続きを今も見続けています。オーナーさんから、イベント案内をいただいたり、活動を広げている大学生達からも話を聞いています。 まさに高校生たちが作ったきっかけで、ノンノやそこに関わる人たちが動き出している状況です。本当にワクワクしますね。
私の子どもたちが活動に参加したことは、ヒト、コト、モノを「知る」というよい経験になりました。生活に活かすのは確かにこれからかもしれませんが「知る」がなければ広がりも生まれません。 様々な人と知り合いながら、全身汚れてアートに参加した楽しい思い出と共に「知る」良い機会をいただき伴走者としても親としても感謝しています!
今後の活動も見続けていけたらいいですね。 お疲れ様でした!
協力
合同会社チキサニ
会場のカフェノンノを提供してくださった合同会社チキサニ 代表 片岡さんよりメッセージ
地域の中で大人も子どももお年寄りも障害児・者もみんなで楽しめる場所づくリを作リたいという私の望みを叶えて下さったのが、まなびまくり社の皆さんでした。使用していないガレージにたくさんの方達がペンキだらけになりながら作り上げたアートは右側壁には平和の象徴の象、左側にはレシートアートの鯨の胸にはアイロンで描かれたハートが何かを訴えるように浮き上がっています。
コロナ禍ではありますが何度かイベントをさせて頂き、近隣の方にお披露目しておりました。
皆さん興味津々で見入り質問される事もありSDGsの事を知って頂ける良いチャンスになりました。
フリースペースノンノが出来上がる迄開成高校の高校生が中心となり1ヶ月以上の期間をかけて企画から完成まで一生懸命に関わり素晴らしいフリースペースが出来上がリました。
これからも人と人が繋がリ、皆で楽しく過ごせる場所になるように企画していきたいと思っています。たずさわって下さった高校生の皆さん大学生・コーディネターの林さん平野さん・お子様たちありがとうございました。ノンノを自由に御利用して下さい。
皆さん、待ってまーす。
株式会社JML
木材を提供してくださったJMLさま
株式会社JML
たくさんの方のご理解とご協力で実現することができました。ありがとうございます!